賃貸経営でのランニングコストについて
ランニングコスト 1 〈税金〉
【固定資産税】
固定資産税は、毎年1月1日時点で固定資産(土地、家屋および償却資産)の所有者に対して、市町村(東京23区は都)により課される地方税です。税額は、原則的に固定資産税課税標準額に対して税率1.4%を掛けて算出しています。
固定資産税の納期は各自治体により異なりますが、おおよそ4~6月頃に納税通知書の郵送にて通知され、ほとんどの場合、6月・9月・12月・2月というように、第1期~第4期に分けて支払う形です。
支払方法は、金融機関や郵便局、コンビニエンスストアなどに同封されている納付書を持参し、現金のほか、クレジットカードや電子マネーでも支払うことができます。ただし、自治体によってはクレジットカードが使えないこともあるので、注意が必要です。また、年4回の分納の他、一括納付もできます。
【都市計画税】
都市計画税は、毎年1月1日に原則として市街化区域に所在する土地、家屋を所有する所有者に対して、市町村(東京23区は都)により課される地方税です。税額は固定資産税課税標準額に0.3%を掛けて算出します。都市計画税と固定資産税の納税通知書は一緒に送付されますので、納期も固定資産税と同じです。
【所得税・住民税】
毎月家賃収入が得られるなら、それに対して所得税などが課税されます。不動産所得は、家賃収入のほか、返還しない礼金や共益費などの名目で受領する金銭を含む総収入金額から、必要経費を引いた金額になります。上記の固定資産税・都市計画税は、必要経費として認められています。
ランニングコスト 2 〈管理費〉
【管理委託費(建物管理)】
管理委託費は、マンションの維持・管理のための業務全般を、外部管理会社に委託したときに発生する費用です。いくら払うかは、契約時に取り決める業務項目と内容により異なります。毎月定期発生する業務、年間で何度かやればいい業務、突発的に対応を要する業務などがあります。退去が発生した後の室内クリーニングや修繕などは、建物管理に含まれます。
【管理委託費(入居者管理)】
借主が退去したときに、マンションの入居者を募集したり、入居者から家賃を回収したりといった、入居者管理業務に対しても管理委託費が必要になります。中には、家賃を滞納する借主も出てくるかもしれませんが、滞納の確認連絡や督促といったことを業務内容に含む契約をしていれば、対応は管理会社が行ってくれます。これらは、直接収益にかかわる部分なので、迅速に対応してくれる会社を選びたいものです。
この他、騒音や暮らし方から起きる入居者同士のトラブルやクレームへの対応もしてくれます。ただし、業務内容やサービス範囲は会社ごとに異なりますので、都度確認が必要です。
また、合わせて家賃保証会社を利用することもできます。家賃保証会社に一定の保証料を支払うことで、賃料・管理費・駐車場料金といった毎月借主から支払われることになっている費用に滞納があった場合に、代わりに貸主に対して弁済してくれます。保証料は借主負担とするのが一般的ですが、賃料に含めるのかなどの条件設定は貸主の任意です。月の支払い総額が増えると、入居者募集時に避けられる可能性があるので、賃料とのバランスや相場には留意が必要です。
【修繕積立金(区分マンション投資の場合)】
マンションでは、大規模修繕や不測の災害に備えて修繕金の積み立てを行っています。区分マンション投資を行う場合には、他の区分所有者と同じように、毎月マンション管理組合に「修繕積立金」を支払います。
【管理費(区分マンション投資の場合)】
分譲マンションでは、マンション全体の管理業務はマンション管理組合が行っているので、それにかかる費用は区分所有者が分担します。区分マンション投資を行う場合には、修繕積立金と同様、毎月マンション管理組合に定額の管理費を支払います。
【点検・清掃費】
一棟マンションやアパートなどの場合、別途建物の保守点検費用や清掃費がかかります。例えば、エレベーターの法定点検、植栽の剪定、貯水槽清掃、水回りの高圧洗浄などがあります。
【リフォーム費】
入居者の入れ替え時に、原状回復としてリフォームを行うときの費用です。「原状回復」については、入居者(退去者)の負担範囲と家主の負担範囲でトラブルになることがあるので、入居者との契約時に明確に取り決めておくことが必要です。間に管理会社が入る場合は、オーナーにとっては業務自体は楽ですが、修繕内容や費用が不明瞭になることがあるので、管理会社との取り決めや報告手順なども明確にしておくことをおすすめします。
【修繕費】
エアコンや給湯機の取り換えなどにかかる費用は修繕費になります。必要の都度、別途実費がかかります。
【広告費】
入居者を募集するためにかかる広告費用のことです。不動産情報サイトへの情報掲載料、情報誌・折込チラシなどへの広告出稿料などです。個人では手配できないので、入居者管理を委託している不動産管理会社が必要に応じて代行します。
ランニングコストを抑えるには
このように、賃貸経営にはさまざまなランニングコストがありますが、必ずしも全てかかるわけではありません。また、オーナーが意識することで、コスト削減できることもあります。
【管理会社の選び方】
管理会社は、管理業務全般を行いますが、その業務の範囲や料金はさまざまです。どの程度の管理を、どのくらいの料金で行ってくれるのかをしっかり調査し、複数の管理会社を比較した上で選びましょう。もちろん安いだけでなく、信頼して業務を委託できるかが重要です。
業務委託契約を結んだ後でも、年度ごとなど定期的にサービスに見合った料金かどうかを、見直してみて、よりよい管理会社がないかどうかを検討してみることも必要です。
【管理会社との連携】
管理会社がいろいろやってくれるからといって、丸投げしないことも大切です。保有物件がどのような状態で、何か問題になっていることがないかなど、こまめに情報が得られるようにしておきましょう。管理会社と良好な関係を築いておけば、物事が何かと効率的に運び、結果として経費削減につながることが期待できます。
【清掃はこまめに、メンテナンスは迅速に】
ついつい月々のランニングコストを低く抑えようとしてしまうかもしれませんが、清掃はこまめに丁寧に行いましょう。電灯の交換や軽微な不具合に対するメンテナンスはできるだけ迅速に処理しましょう。日頃から可能な限り、物件を正常な状態にケアしておくことが大切です。大規模な修繕が必要となったときに、予定外に費用が膨らむリスクを抑えることにもつながります。
月々のコストは割高に見えるかもしれませんが、こまめな清掃と修繕を続けていれば、結果的には、ランニングコストを低く抑えることが期待できます。
【確定申告を自分で行う】
確定申告を税理士に依頼した場合、売上規模によっても異なりますが、5万円〜10万円は費用がかかります。もしも確定申告を自分でするならば、この費用をカットすることが可能です。比較的簡単に記帳が行える会計ソフトもあるので、思ったよりもハードルは高くないかもしれません。
【その他】
不動産投資ローンを借り入れている場合、住宅ローンと同様で、返済途中で借り換えをすると返済金額を減額できることがあります。もっと良い融資条件がありそうだと思ったら、まずは自分でシミュレーションした上で、「借り換え相談」を行っている金融機関に相談してみましょう。
また、投資が順調に進み、保有する不動産物件が複数になったなら、事業化(法人化)するという方法もあります。事業化するほどの規模になると、それだけ所得金額も多くなるわけです。所得金額が多いと支払う税額も高くなるので、そうなると法人化した方が諸々の節税対策が有効になってきます。
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